日射が強い。
砂漠のようなアスファルトが陽炎を見せている。アスファルト雑草、アスファルト街路樹雑草空き地。何処までもこの景色が続き、ようやく地平線付近で、それが水平線になっていた。
この人工の島はどこまでも開発中で、殆ど何も無いといって良かった。有るのは焼けたアスファルト。それから雑草。
その中で唯一つ個としての主張と規模を持った建築物がある。
ここから十三メートルの高さに据えつけられた無人駅だ。
プラットホームへ続く道。覗き込むと暗く、朱色に光る鳥居と両側に青々と茂る竹。
その奥、一つの人工物が見える。
長い身体を横たえている「それ」。薄い光で照らされて鼠色の肌の所々白い斑模様を浮かび上がらせていた。丸く大きな瞳は閉ざされて落ち窪んでいるが、眠っているかの様に自然でいた。
全部で三節からなる長い胴。両端から柔らか流線型を描き、頭尾の区別はまだ無い。節毎、側面に二カ所、縦長の昇降口がある。目立たないように擬装されて、接合部は殆ど凹凸がない。
胴に彼の顔が反射して見えた。
鼠色に見えた胴は表面が鏡のようで、景色を横長にして私達に見せていた。私は彼の太った顔が少し面白くて、少しだけ屈んだり傾げてみた。
唐突に「それ」が動き始めたように見えた。だが、覆い被さっている竹が風で揺れたからで、影の揺れる姿だった。彼の笑い声が聞こえる。私は少し驚いて一歩退いてしまっていた。
左手から細く低く短い鳴き声。つまり左が頭という事だ。口の有る方が頭。
そろそろ出発の時刻。私は時計を確認して重い旅行鞄を持ち上げた──。